第20回記念展 長野県現代書藝協会 会長 小浜大明 ごあいさつ

ごあいさつ

 平成6年に新しい書の創造と、民主的な運営を標傍し、長野県現代書藝協会が設立されました。翌平成7年には長野県松本文化会館にて第1回長野県現代書藝展がスタートいたしました。以来、常に書道芸術の革新と普及に尽力し、漢字、かな、少字数書、近代詩文書、篆刻、刻字、前衛の7部門を置き活動してまいりました。当初は長野県内の皆さんのみの出品でしたが、回を重ねるに従い、岩手、宮城、干葉、東京、富山、大阪、広島といった遠方からの出品も多くなり、結果、各部門の作品数や内容も充実してまいりました。これも一偏に美術評論家の田宮文平先生の公正なる単独審査の公平性をご理解いただけた結果だと考えております。
 このような経緯をたどりつつ進んできた長野県現代書藝展も多くの皆様のご理解ご協力を賜りながら、今年20回の記念展を迎えることができました。その20回の記念展をかざるべく、公募部門では昨年を上回る数の作品が寄せられ、内容も充実した書展となりました。改めて今日までご支援くださった皆様に心より篤く御礼申し上げます。
 近年高校生の書への関心が高まりつつあり、「書の甲子園」には海外からの出品を含め、1万7千点をこえる学生が出品し、腕を揮っています。当協会も若い世代の育成をめざし平成10年に学生部を誕生させましたが、お陰様で今回展には2千点を大きくこえる作品が寄せられ、会員一同感激もひとしおです。
 古来より「書は人なり」と言われますが、手書きの文字からは書いた人の人となりが伝わってきます。私たちのこの活動が、心豊かな青少年を育成する一助になればと願っております。
 20回記念展は一つの通過点にすぎませんが、いつまでも書活動に対する情熱を失わず、より独創的で清新な書を目差して更に前進する様決意を新たにしております。今後共変わらぬご支援ご協力の程お願い申し上げます。

平成26年11月
長野県現代書藝協会会長 小浜大明

第20回記念展 長野県知事 阿部守一 ごあいさつ

ごあいさつ

 20I4長野県県民芸術祭参加『第20回長野県現代書藝展』が盛大に開催されますことを、心からお慶び申し上げます。
 長野県現代書藝協会におかれましては、平成6年の設立以来、長野県現代書藝展開催を通じて、伝統的な書道文化を継承しながら、常に書芸術の革新と普及に努めてこられました。
 今年で20周年を迎えた貴協会の皆様には、永年にわたり長野県の文化芸術の発展に多大な貢献を賜り深く感謝申し上げます。
 ご案内のように書は、書く人の暮らしぶりや心のありようが現れる、私たちの生活に近しい芸術であります。美しい文字でつづられた手紙は、それだけで人の心を打つものです。
 書道文化をはじめとする文化芸術活勤は、私たちの生活にゆとりと潤いを与え、豊かな人間性を育むとともに、人と人との絆を強め、地域社会を活性化させる大きなカとなるでしょう。
 しかし最近は、特に若い世代において、文字を手書きする機会も少なくなりましたが、貴協会におかれましては、その現状を憂い、積極的に次世代を育成し、書を通じて心を養う活動を展開しておられます。このような、21世紀にふさわしい現代書のあり方を追及しつづける、会員各位の情熱に改めて敬意を表する次弟です。
 長野県では、昨年度スタートした総合5か年計画「しあわせ信州創造プラン」のもと、本年度から県民文化部を新たに設置し、文化芸術の振興にこれまで以上に力を入れて取り組んでおります。
 引き続き県政へのご理解、ご支援を心よりお願い申し上げます。
 結びに、長野県現代書藝協会の益々のご発展と、関係の皆様のご健勝を祈念申し上げ、お祝いの言葉とさせていただきます。

平成26年11月 長野県知事 阿部 守一

第20回展記念展 特別審査員 田宮文平 「公明正大、開かれた門戸」

公明正大、開かれた門戸

長野県現代書藝展が、第20回記念展を迎えることになった。この間、鑑別を終ったあとの審査を事実上、特別審査員として単独かつ公開でさせていただいことを大変、光栄におもうと同時に、責任の重さを改めて感じております。

わたしは、少年のころより川村既驥山先生に格別の御縁を賜り、また、父(中台青陵)の親しい友人でもありました津金崔仙先生、上條信山先生にも御厚誼を賜り、長野県の書との御緑の深さをつくづくと感じております。さらに、わたしが書学・書評論の仕事をするようになってからは、比田井天来先生、田代秋鶴先生の業績もおのずと研究するようになり、いよいよ、信州とは深いつながりを感ずるようになりました。

それで長野県現代書藝展の特別審査員の声が掛かったときには、何を置いても応援しなければならないと存じた次弟です。

第一回展の当時、顧問の西村古香先生が、もっとも年輩者でありましたが、わたし自身も今やそれに近づきつつあり感慨無量です。若き小浜大明会長、西村水穣理事長も地元をしっかり固めたうえで、中央書壇にも確固とした地歩を築くようになりました。

長野県現代書藝展は当初、漢字、少字数書(大字書)、それに宮澤梅径先生の刻字が三本柱でありましたが、近代詩文書については金子卓義先生に特別の指導をしていただき、また、前衛書では板垣洞仙先生には当初から、また近来は太田蓮紅先生、かな部へは大槻草光先生の特別の御協力を賜り、現代の書の全部門が揃って発展してきました。

また、長野という地域名がついておりますが、北は宮城をはじめ、干葉、東京、大阪、広島等々、全国各地から応募があるのは門戸が広く開かれているからです。そして、文部科学大臣賞をはじめとする賞へのチャンスがあります。人は、チャンスのあるどころへは、おのずと集まるものです。長野県現代書藝展が、こんなにも大きく発展したのは、公明正大で誰でもを受け入れる度量があったからです。

これを機に新たな発展を切に祈ってやみません。

特別審査員 田宮文平