第22回 特別審査員 美術評論家 田宮文平氏の総評をいただいております。

信頼と充実の書展

特別審査員 美術評論家 田宮文平

第22回長野県現代書藝展は、県内県外から一般部はほぼ平年並み、
学生部は大幅増の出品を得て開かれる。
国民文化祭協賛事業、長野県県民芸術祭2016参加に認定されてはいるものの、
文部科学大臣賞、長野県知事賞が授与されるのも、
個の書展の信頼と充実の証であろう。
今回は体調不良に不安を抱えての審査であったが、
審査会員の皆様の絶大な御協力で何とか務められたことに心から謝意を表します。
漢字、少字数、刻字、前衛書を主体に、
かな、近代詩文書、篆刻の各部が揃っているのも本展の大いなる特色で、
各部門とも作風の広がりが出てきたことは心強い。
加えて一層の充実を期待したい。
学生部は、大学、高校とも臨書作も多く、
出品数の多い中学、小学ともに今後の本展の発展を裏付けるものである。

●文部科学大臣賞 西村香穣
二尺×八尺の長条幅に縦三行の行草体。
用筆は良く洗練されて充実、潤滑変化の墨法も緊張感があって素晴らしい。
近来、出色の受賞であろう。

●田宮文平賞 加藤觴流
縦六十×横一五七センチの横額形式に千字を刻した労作である。
構想三年、よく篆書を研究し、刀法も一貫した。
これも今展の一大収穫である。

協会賞 平倉明楓
一三二名の候補者からただ一名が選ばれる難関の賞。
緩急、潤滑自在の用筆で勢いのある現代造形に成功した。

以上縦原稿を横にしたため一部体裁を変更しております。

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